ジェネリック薬に対する思い
最近、フツフツとジェネリック医薬品に対して思い巡らせる日がありましたので、日ごろ抱える思いを述べてみたいと思います。冗長になってしまいましたが、忍耐の精神をもって読んでもらえると幸いです。
以前にも書きましたが、まずはイントロダクションとして要約しておきますと、、
ジェネリック医薬品とは、既に販売されている薬の有効成分を同量含んだ薬のことを言います。既に販売されている薬は先発品と呼ばれ、それに対応して、後になって販売された薬は後発品(またはジェネリック薬、ゾロなど)と呼ばれます。先発品の有効成分は一定期間、特許で守られており、他メーカーは同じ成分を含んだ薬を製造・販売することはできません。その特許が切れると同時に、後発品がゾロゾロと販売されるようになります(ゾロの由来)。
ジェネリックには、有効成分が先発品と同量含まれているわけですから、有効性・安全性に関しても先発品と同等であることが期待できます。しかも、研究・開発(臨床試験など)のステップを省いて、販売することができるので、コストがあまりかからない分、価格設定を安くすることができます。つまり、同じ効き目の薬を安く買えるようになるわけです。これによるメリットは、患者個人レベルのみならず、日本の経済レベルで負担を減らすことができる、という点です。
とまぁ、うまくいけばいい事尽くめなワケですが、いくつか問題点があります。
色々な点が指摘されていますが、(1)先発品と後発品では添加物が違う点がよく取り沙汰されます。しかし(表現は悪いのですが)、例え添加物が異なっていたとしても、私は”どうでも良い”と思っています。少なくとも私は大学で、添加物が異なることによる薬効の出方の違いなどは学んだ記憶がありませんし、一般的にそのようなことが起こるのであれば教えて欲しい、くらいに思っています。「例:一般的に使われる添加物Aと添加物Bでは血圧の薬の降圧作用に差が出る」などの例は私は知りません。
医薬品に添付される情報をまとめた”添付文書”にも添加物は記載されていますが、それをまじまじと見つめたことさえありません。p.s. 添加物もちゃんと把握しておかないとダメだよ!という方がいらっしゃいましたら、後学のためにも是非その理由を教えていただきたいものです。
私が一番問題だと感じる点は(2)後発品を人体に投与した際に先発品と同等に効果が得られるという直接的な証拠を、情報として得られないことです。昨今、医療界ではEBM (Evidence-based Medicine; 証拠に基づく医療) が当然とされています。疾病の治療において、統計学に基づいた解析により、病気が治る、5年後生存率が上がる、合併症の発生率を低く抑えることができる、といったことが証明された治療法を選択するわけです。
さて、ジェネリック医薬品に関してはどうでしょうか?厳しい審査に基づいてジェネリック医薬品は承認されています、などと言っておきながら、具体的な審査の内容は、先発品と後発品で、水に溶け出す速度が同等であること、保存している間の有効成分の安定性が同等であること、有効成分が体内で吸収・分布・代謝・排泄される程度が同等であること、程度で承認されています。”うちのジェネリック医薬品は、こんなちゃんとした設備で作っています”なんてアピールもチラホラ見かけますが、(飛び出した目玉がまた戻ってくる位の莫大なお金がかかっているのは分かりますが)、それも驚くに値しません。
私が大学で学んだEBMの精神に基づくとこれらの性質は、後発品が兼ね備えていて当然のものであり、興味はその先の”この後発品は、人体に投与した時の有効性・安全性が先発品と同等か?(有効性・安全性に関する直接的な証拠)”にあるのですが、そこのところのデータは(少なくとも私は)手に入れることができません。科学的な論文では、このようなケースは「indirect (間接的な) evidence (証拠) はあるが、direct (直接的な) evidence に欠ける」と評価されます。読み終わった時の後味が気持ち悪い論文と同じですね。話が反れてしまいましたが、要するに、臨床試験はしていないので、EBMの精神に則った場合、”データ不足”なのです。
例え小規模でも良いので臨床試験をパスしたジェネリック医薬品が欲しいと私は考えますが、これはジェネリックの長所である「研究・開発費を安く抑えることで、薬価設定を安くできる」というメリットを、幾分(もしかしたら、かなり)損なうこととなりますので、賛否両論だと思います。しかし私は「このジェネリックってのは、今飲んでる先発品と効き目は同じなの?」という患者の質問に対して、一点の曇りもない精神状態で「ええ、同じですよ。」と答えられるものであるべきだと思うのです。
さて、現在、医療の法律が変貌しつつあり、ジェネリック普及に関して薬局においてもジェネッリック医薬品を患者に勧めるように圧力(に近いもの)がかかってきています。この流れは以下の2点において、無理難題であると私は考えています。
まず1点目。病気の患者に対して、診断し、薬を処方するのは医師の特権です。専門的にそういう事を大学で学び、実地で研鑽しているのですから、当然だと思います。この特権には、「先発品、後発品関係なく、どの薬を選択するか」という点も含まれていると私は考えています。例えば、よく効くジェネリックを医者が使いたい場合には、そのジェネリックを選択するが、逆に効きが悪いと感じるジェネリックは選択せず先発品、という事をする場合もあるでしょう。そういった判断は処方権がある医師がすべきことです。
そして2点目。現在、後発品を含む調剤を多くした薬局には、特別ボーナスとして、より多くのお金がもらえるシステムになっています。効き目が同等であるかどうか、統計学的に証明されたデータもないのに、安い薬を普及させた、という行為のみにお金を与えるのは、医療の立場から考えると間違いです。とりあえず後発品に変更させれば良いという立場は、医療ではなく経営です。医療人であるならば、即刻改めるべきです。
私は基本的には、良いジェネリックであれば、医療費の抑制&患者の経済的負担の軽減になるので積極的にジェネリックに移行すべき、というスタンスで考えています。しかし、現在の医療のシステムでは、良くも悪くもジェネリックに無理やりシフトさせているだけであり、それ以前に、必要な情報やジェネリック医薬品の供給体制などなどに関して不足・不備が多すぎます。以上、「ジェネリック医薬品に対する思い」でした。
余談ではありますが、私は頭痛などで、ロキソプロフェンナトリウム錠(先発品:ロキソニン錠)を服用する際には、後発品のロブ錠を選択しています。痛みはちゃんと治まってくれるし安いし、満足です。オススメです(※ロブの販売業者とは何の関係もありません)。
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